APOLLO / 黒崎敏

建築デザインに造詣が深いDINKSの建主は、自分たちの趣味が反映された中庭のある住宅をつくるために東京近郊の閑静な住宅地の一角に土地を購入した。濃茶のレッドシダー縁甲板張りの外壁と、2階にせり出した白いボリュームのコントラストが印象的な外観をつくり出している。

閉鎖的な外観とは対称的に、中庭を中心とした自然光が溢れる内部空間が広がっている。エントランス脇に畳敷きの和室と、その対面に主寝室を設えることで、中庭を介して気軽に往来できる空間とした。北側にはボディルームを設け、バスコートと連続させることでスムースな家事動線を確保しつつリラックスできる一体空間を確保した。

中庭のヒメシャラを眺めながら中央に配したストリップ階段を上ると、SPFで構成された特徴的な傾斜天井面が姿を現す。中庭から差し込む自然光がガラスに反射し天井面に端正な陰影をつくりだしている。リビング脇には趣味の本やレコードを収納する造作家具を設え、アウターリビングとの一体感が得られる大型引戸を配した。小上がりでダイニングキッチンを設けることで空間には舞台性が生まれ、リビングとの緩やかな棲み分けが生まれている。キッチン横には、読書や趣味などで自由に過ごせるエクストラ空間を用意し、各自が居場所を限定せず生活を堪能できる仕組みとした。夜には間接照明が天井面を照らし光のグラデーションをつくりだすことで昼とは異なる表情が生まれている。