Foto © Shigeo Ogawa

1970年代に開発された郊外分譲住宅地での建て替えである。当時の住宅が周囲にまだ多く残ることから、屋根形状や外壁の色等、立ち姿としてはその意匠性を踏襲している。

周囲の住宅を見てみると、法的な制約である1mの壁面後退がつくる敷地の余白は、設備機器や物置などのための、ただのスキマでしかなくなっている。また、方位も影響して外部に大きな余白を取ったとしても隣家の大きな開口部がこちらを向いているような有様で、プライバシーの確保は困難となる。

そこで、ここでは特に隣家の影響を受けやすい長手方向においてそんな外部のスキマを広げるのではなく、壁面後退線ぎりぎりまで建物のボリュームを設定し、内側にバッファゾーンを沿わながら居室をセットバックさせることで隣家との距離を図ることを試みた。

グラウンドレベルでは、それは土間空間として内部に取り込まれ、そこに囲まれるように居住スペースを確保している。上階ではそのバッファゾーンは縁側となり、視線を遮るように障子を設けながら採光を確保し、隣家との距離感を曖昧にしている。また数ヶ所、突出し板戸による通風口を設けてプライバシーを守りながら通風を可能にしている。

住宅地において周囲とのコミュニティは大切であると同時に、プライバシーの確保も重要となる。その要となる外部との緩衝領域を屋内とすることで、生活を営む上での余剰領域となることを期待した。また、生活の中心となる空間を一つの大きな屋根で覆い、その棟の全長に設けられたトップライトから、主室・キッチン・書斎・水回りまでのそれぞれのスペースに均質な光をもたらすようにした。

Foto © Shigeo Ogawa
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高槻の住宅

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Standort
大阪府, Japan
Jahr
2016

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