松屋町の住宅
大阪, Japon
- Architectes
- 荒谷省午建築研究所
- Lieu
- 大阪, Japon
- Année
- 2016
敷地は大阪の住宅が密集した地域にある。施主は子どものときから長年住んだ家を建て替えることにした。当然施主は場所の特性について知り尽くしているので、まず施主の意見を充分に聞いた。その上で、この場所で新たな発見をしてもらえるような住宅ができればと我々は考えた。
敷地は隣家が迫り、その隙間は人がやっと通れるほどの幅しかなく、さらに壁に設けられたエアコンの室外機や給湯器などがそこを塞ぐように張り出していた。この環境のせいであろう、施主は長年採光不足や湿気に悩まされてここで暮らしてきた。
建物を周囲からセットバックさせれば当然採光は確保できるのだが、この地域性に何か異質なものを持ち込むようで、最適な解決策には思えなかった。この密集した感じを、あえて継承していく方法を探りたいと思った。
そこで、既存の住宅の輪郭をなぞるように、できる限り隣家に近づけながら、3方それぞれに小さな庭を設けることにした。隣家との隙間を通る風は、凹状の小さな庭を通って光とともに室内へ流れる。
残り一方の道路側にも同様に空地を設け、そこをアプローチとし、近隣の2軒分の間口を持つこの住宅を分断することで、ファサードを周囲のスケールに合わせた。
4つの凹みによって分けられた内部空間はそれぞれに機能を与えた。それらを接続する空間として中央に吹き抜けを持つ主室を配し、上部に設けられたエキスパンドメタルの床はレースのような効果で、4方向からの光を柔らかく取り込まれる、これまでとは正反対の住環境を確保した。
この家もまた、この地での家族の生活を享受しながら、次の世代へと受け継がれていくことを願う。
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