Foto © Yukinori Okamura
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トゥーストーリーズビル

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Sede
東京都, Japan
Anno
2017

このエリアは郊外の住宅地で90年代くらいまでにおいては、在来型ではあるが低層切妻型屋根、寄棟屋根、方形屋根の建物が多かった。ここ15年くらいでマンション、アパート、ビルが地域に混ざり込んできて、陸屋根(箱形)型も共存しており、最近では陸屋根型ビル・マンションの方が増えつつある。また、駅前やできあがっている繁華街・商店街でもないので、多層階の陸屋根(箱形)テナントビルはやや街に合わないと判断をした。
敷地の前面道路は役所と駅を結んでいる通りとなっていて、また近くに小学校・公園があり、通りは地域の人の往来が常に多い。
施主からは近隣に調和し、公園や小学校の来訪者なども意識しながらこの建物を利用してもらえるような計画を相談された。
そこで、建物の形状・ボリュームのスタディーを経て、ボリューム的に街区の輪郭を逸脱しないことや地域の多様な世代に馴染んでもらえるよう『昔から見慣れた「切妻型」の屋根』の低層とした。そして住宅地の中のテナントビルという要素があるため、商業ビルというよりは一軒家のテナントという要素をデザインに反映をした。そうすることで街に寄り添い擬態した形だ。
次に、道から、テナントルームに入るまでのアプローチの操作である。つまり、入り口からテナントルームへのアプローチの方法に心理作用を促す工夫を試み、人々がテナント空間に入るに前に一瞬だけ「頭の中が入れ替わるような異体験」を感じられるEXPERIENCE CHMBER(体験空間)を通り、気持ちを変化させてからテナントに入るという導入を意図した。
その一つはドットのトンネルで、前面道路からもこの入り口は通行人にとってちょっとした体験欲を誘引し、このトンネルの中で一旦日常を中和し、内部に導かれるという流れである。同様に2Fに行く階段室にもドットとブルーな静的な空間を介し、上記効果同様の気持ちでテナント内部に入れるような心理的チャンバーとして利用している。
そうすることで、街(社会)とテナント(個)の間が直接的ではなく、モデレートに繋がれる佇まいを提案している。
一軒家的魅力とスケルトンインテリアの提供
郊外の駅前で資金効率重視にてテナントをつくると鉄骨ALCに滞りがちであるが、今回は街の柄と寄り添ったテナントビルの形で有り、住区と調和し一軒家的なテナントビルとなった。また、インテリアもスケルトンではあるが、建物の意図をくみ取るような内装が施されており、賛同してもらえるテナントに入居を促している。
テナントビルの多くは、経済効率主義で利回りによるデザインが巷に氾濫することが見受けられるが、経済効率も踏まえながらも、それだけではない「なにか人々にキュンとさせる魅力」を街にもたらしたいということを試みたテナントビルである。

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