矢掛の家
岡山県矢掛町, Japan
矢掛町は江戸時代、参勤交代制により西国街道(山陽道)の宿場町として繁栄し、矢掛本陣のある通りは伝統的町並み保存をされている地域である。
敷地は、田園風景の残る山裾に近い自然豊かな環境であり、北東側には高妻山を望むことが出来る。ここに、4人家族が穏やかにこの自然を享受できる住宅を考えた。
敷地面積は約120坪と比較的大きく、環境と相まってゆったりと感じた。
クライアントの丁寧な暮らしぶりとこれからの暮らしのイメージを共有していく中で、柔らかな光のあふれる空間で家族や友人が集まって楽しそうに自然を眺めているようなイメージが浮かんだ。
家族が集うスペース(LDK)は山に向かって開口部を設け、全部を開放できるようにし豊かな自然と繋がる様にした。この空間はボールト天井にしており、仕上げ材に桐を使用した。この天井は、光を柔らかく吸収しグラデーションをつくり、光の美しさと落ち着きのある光の空間となった。また、中心に据えた薪ストーブは、人が集まる場所となり、揺らめく炎の後ろ側に豊かな自然が広がっている。
外観は端正な寄棟の屋根の掛かった佇まいとして、外壁にはレッドシダーの板貼りとして、経年変化を楽しめこの豊かな風景に馴染むようにした。庭には、クライアントが自ら製作した薪棚があり、建築と植栽と相まって穏やかな情緒を与えている。
これから年月をかけて家族の成長と共に味わい深い暮らしが出来る住宅となった。