新潟の住宅
プロジェクト一覧に戻る- 場所
- 新潟, 日本
- 年
- 2004
写真:鳥村鋼一、比留川勇
素晴らしい水田風景に面して立つ住宅。生活と風景を結びつけることに配慮した。
水平に伸びた1階の上に、3つのボックスが載っている。
1階は、友人たちを招くLDKを中心としたセミパブリックな空間。建具を開けると、階全体が、大きく、オープンなスペースとなり、長い連窓もその空間の水平性を強調する。東西に伸びた空間内を行ったり来たりする人の動きに対して、風景も平行に接する。ここでは、風景は、皆が集う際の背景であり、あまり強く意識されない。
2階の3つのボックスは、プライベートな空間になっている。風景に直交して配置し、1階とは対照的に、風景と向かい合い、風景を強く意識する。
各ボックスは、東西南北の4方向に窓を設け、さらに各ボックスをずらして配置することで、光と風を最大限取り込めるようにした。一軒家の雰囲気を持ち始め、日常的な世界から距離を置き、風景と向き合いながら、自分だけのプライベートな世界をつくる。
3つのボックスの仕上と風景の切り取り方を変えることで、各ボックスの風景との距離感も変わり、多様になる。
3つのボックスのうち、西のボックスは、シナ合板張りの抑えたつくりで、窓は使い勝手とのバランスで決め、風景の見え方は素直である。中央のボックスは、光の散乱する溶融亜鉛メッキ鋼板の空間を、目透し張りの板でくるんだ。小屋の切断面が額縁となり、景色が、絵のように鮮やかに切り取られる。東のボックスは、鏡や全艶の塗料で仕上げた壁と天井に、ツキ板やじゅうたんといった保守的な材料が混ざる。仕上面への風景の映り込みで、虚像実像の境界は不分明になり、外部が室内に浸透し、風景とインテリアが一体になる。
水平な1階に、小さなボックスを載せた構成は、圧迫感が少なく、向こう側の空へ視線が抜けて行く。自然に近い場所にふさわしい圧迫感のない形式を考えた。
外壁の素材や色は、新潟の昔ながらの建物によく使われるものである。地域との連帯感を示している。
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