伊予の家
プロジェクト一覧に戻る- 場所
- 愛媛, 日本
- 年
- 2012
愛媛県の伊予市に建つ住宅の建て替えである。
敷地は区画整理された住宅地で、建物を北側に寄せて南側に庭を配置した計画がほとんどである。建主の要望は、東側道路以外は住宅で囲まれた敷地であるため、周辺環境からある程度のプライバシーを確保したいことと、採光を確保しながら風通しのよい空間にしたいことであった。
この敷地の南側に一つの庭を配置する場合、居室によっては通風と採光に大きく偏りができるため、まず敷地に2つの庭を配置する計画からはじめた。この東西に伸びる2つの庭と、北側隣地の庭も考慮に入れた3つの庭に挟まれるように建物を南棟と北棟に分けて配置することで、敷地に空気の余白をつくり風の流れを導きだした。また北棟の床レベルを半階ずつ上げて、南棟とのスキップフロアとすることにより、北棟の1階まで可能な限り採光を採り込むことができ、床のスキップに庭も合わせていくように地面を傾斜させることで、観賞用の中庭と居室の延長として活用する中庭といった、使い方を明確に分けた庭をつくりだした。 LDKは意匠として特徴的な壁柱と庇を、水平力を負担する構造として機能させることにより、木造でありながら南北それぞれに大開口を実現させている。採光をテーマとした居室とは対照的に、南北の棟を結ぶ階段室と廊下は壁の開口部を最小限に抑え、トップライトによって空の移ろいを感じる空間とした。
密集住宅地に必要とされた居室群をいかに分散させて採光と通風を獲得するべきかがテーマではあったが、結果として季節の移ろいも感じられる空間となったのではと感じている。