林敬一建築設計事務所

住宅密集地の旗竿地に建つ木造3階建ての小住宅である。北側斜線や壁面後退など、法的な制限によって建物の大まかな形状が決められている。旗竿地の竿にあたる部分は巾が2mしかなく、通常ここは道路から建物への単なるアプローチになるしかないのだが、今回は敷地に余裕がなかったので桟橋状のバルコニーを配している。プランはオープンプランで、1階は寝室と水まわり、2階はLDK、階高の低い3階はフリースペースになっている。旗竿地なので建物の外周全てに隣家の外壁が迫っており、プライバシーに配慮して隣家の窓とこの家の窓が向かい合わないように開口部の位置を決めた。そうするとメインの生活スペースである2階が少し暗くなってしまったので、屋根の波板を部分的に透明にして、そこから3階の吹き抜けを通じて2階に光を取り込もうと考えたが、ぎりぎりの小住宅では吹き抜けで床面積をロスする余裕がなく、アスレチックロープを張って光が通りかつ住人の活動やコミュニケーションを誘うような床にした。