勝山の家
岡山県, 日本
- 建築家
- 坂本昭・設計工房CASA
- 年
- 2007
写真: 坂本昭・設計工房CASA
中国山地の山並みを背景にその住宅はある。建築を構成する様々なボックスは、山並みをなぞるかのようなスカイラインをつくり出し、大地に溶け込む。奥深い玄関に足を踏み入れその空間の先にある坪庭にいざなわれる。いくつかの庭を眺めながら室内に入る。そこは一枚の壁により居間と食堂にゆるやかに分断された空間で、また庭により、つなぎ合わされる。トップライトが配された壁は上方へと意識を導き、庭は視界を水平方向に広げる。木々の向こう側に図書スペースや寝室の棟が見え、またその背後に山々が見える庭は、森の中に生活があるかのように感じる。厨房は3面がそれぞれの庭に面しており、3方を開け放ち森の中にキッチンがあるように感じる。木漏れ日の中で料理を楽しみ、柔らかい風に吹かれて食事を楽しむ。森の中での生活を想起させる。
いくつかのボリュームとそのすき間による構成は、いくつもの庭と、幾度と折れ曲がり回遊する空間をつくり、見えがくれ、視線の抜け、光の回り込みを生じさせ、無数のシークエンスを私たちに与えてくれる。 山や田畑は時間や季節により、色、姿、かたちを変化させてゆく。うつろいゆく自然の中のうつろうシークエンスは、人々の生活の中に精神的な豊かさとうるおいをもたらすだろう。
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