Villa SSK
千葉, 日本
- 建築家
- 廣部剛司建築研究所
- 場所
- 千葉, 日本
- 年
- 2012
東京湾の穏やかな海に接するロケーション。初めてこの敷地に立った時、海の存在感に圧倒されかけたが次第に周囲の細かな情報を感じることができた。太陽の動き、風の流れ、潮の香り、植物の息吹、岩山の存在など。特に印象的なのは海と高い空、反対側にある岩山とそこに育つ植物だった。だからこの岩山と雄大な海景を「繋ぐ」ような建築にしようと思った。
施主の要望はゆったりと過ごせるLDK、海を眺められる浴室、ゲストルーム、愛車を飾ることもできる予備室だった。そこで母屋、ゲストルーム、予備室で囲われる部分をタイル仕上げの中庭とし、犬が遊んだり、ゲストが大勢のときは「外のリビング」にもできる。また中庭は水を張ることが出来、光や風を敏感に伝える水盤が出現する。
海側と山側を繋げる構造を実現する為にWTP+木造立体トラス構造を採用。トラス自体は大きな空間を占めるが、部材同士の間が「抜けて」おり、トラス構造に必要な懐寸法に合わせて壁を斜めに倒していく手法で室内に圧迫感が無いようにした。
建築はその場に根ざす。ロケーションの読み込みと検討で長い時間をかけていくうちに、いつのまにかこの建築形態ができた。設計プロセスでは必死に選択を重ねていったはずなのに、竣工した姿を見るとまるで何かに「作らされた」ような不思議な感覚が残った。
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